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桂川の清流に臨む桂の地は、古来月の名所として親しまれてきました。
平安時代には貴族の別荘がつくられ、藤原道真の別荘「桂家」もこのあたりにあり、月見の宴に興じた記録があります。
源氏物語でも光源氏の別荘・桂の院は月の名所として描かれています。
桂離宮は隅々まで月を見るための舞台として緻密に計算してつくられています。
桂離宮は、八条宮家の別荘として江戸時代に造営されました。1616年完成の古書院から1663年完成の親御殿まで3期にわたって造営されています。
江戸時代は桂川と庭園の池泉の水位はほぼ同じで、舟で出入りできました。庭園内の池泉の随所に舟着き場や舟小屋がつくられ、桂川へ簡単に出て舟遊びすることができました。
日本庭園の四大要素である水・石・植栽・景物の全てが巧みに盛り込まれています。
建物は庭の中に適度な距離を保って巧みに配置され、さらに築山(人口の小山)や前栽(植木)によって互いに見通せないように配慮されています。
見所は園内各所に配され、歩みを進めるごろに、新しい眺めが展開します。
ドイツの建築家ブルーノ・タウトは次のように評しています。
「実際、これ以上単純で、しかも同時にこれ以上優雅であることはまったく不可能である。」
「ここに繰りひろげられている美は理解を絶する美、すなわち偉大な芸術のもつ美である。すぐれた芸術品に接するとき、涙はおのずから眼に溢れる」
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